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【議事録】富田たくの質疑 2015年3月3日 杉並区議会第1回定例会 予算特別委員会 

議事録

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質疑内容 :  性的少数者、セクシュアルマイノリティー施策の拡充の提案、区立施設再編整備計画を進める根拠が破たんしていることについて
質問者 : 日本共産党杉並区議団 富田たく

2015年3月3日に行われた杉並区議会・予算特別委員会で僕が行った質疑の議事録をアップしす。(議事録については時系列で管理を行うため、このエントリーの更新日は質問当日の日付にしております。更新日2015年6月11日)
※この議事録は富田たくの質疑を抜粋したものです。当日の全議事録はコチラから。
※動画での視聴はコチラから。
~議事録抜粋開始~

平成27年予算特別委員会-03月03日-04号

○山本ひろこ 副委員長
休憩前に引き続き委員会を開きます。
傍聴人より委員会の撮影の申請が提出されましたので、これを許可します。
それでは、富田たく委員、質問項目をお知らせください。
◆富田たく 委員
性的少数者、セクシュアルマイノリティーについて、あと施設再編整備、近隣住区の考え方について、時間があれば、防災関連でAED関連について。使う資料は、No.196、223、014、それから男女共同参画行動計画(平成25年度~29年度)と区立施設再編整備計画(素案)等々です。
渋谷区では、同性カップルに対して結婚相当の証明書を発行するという条例案が提出され、話題になっています。今回は、性的少数者、いわゆるセクシュアルマイノリティーの方々に対する杉並区の支援対策について確認をしていきたいと思います。
さて、セクシュアルマイノリティーと言われる、または自称する方々について、まず、杉並区はどのような方々と定義しているか、説明をお願いいたします。
◎男女共同参画担当課長
性的マイノリティーの定義でございますけれども、いわゆるLGBTと言われていますレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの方々と認識してございます。
◆富田たく 委員
そうですね。それ以外にも、XジェンダーとかAセクシュアルとか、いろいろ今話題になっておりますが、今回は性的少数者、総括してLGBTというふうに言わせていただきたいと思います。
それぞれ性的指向、いわゆるいずれの性別を恋愛や性愛の対象にするかといった概念や、性自認、生物学的性にかかわらず自分の性別をどう感じているかといった自己の性別に関する認識、これは必ずしも男と女に分かれるものではありませんが、そういった感覚の違いを超えての質問になっていきたいと思います。
性的指向が異性でない方々、性の自己認識、性自認が生物学的な性別と一致しない方々を総称して、セクシュアルマイノリティー、性的少数者と総称していますが、最近では、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとって、LGBTと言われております。私の友人にもこういった方々がいます。
ちなみに、日本ではその割合はどれぐらいか、把握されているでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
全国の調査で国で行ったものの数でございますが、約5%程度、そう推定されています。
◆富田たく 委員
そうですね。2012年電通総研による調査で、大体5.2%、20人に1人と言われております。
日本では、LGBTの方々に対する誤解から来る差別、偏見などがいまだに後を絶たない状況です。学校や職場でのいじめ、嘲笑の種にする風潮、また、男らしくない、女らしくないという言葉で性的指向や性自認を否定することが日常的に行われている現状があります。
「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」というものが2014年4月に行ったLGBTの学校生活に関する実態調査では、女子の31%、男子の53%が、自分がLGBTであることを誰にも言えなかったと回答しています。その68%がいじめや暴力を受け、特に性別違和感のある男子は、いじめを受けた経験が82%と最も高く、性的暴力などの被害が深刻化、長期化している実態が明らかになりました。いじめや暴力を受けた結果、32%が自殺を考え、22%がリストカットなど自傷行為を行っていたとのことです。
こうした当事者の困難について、杉並区はどのように認識されているでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
性的少数者の方々の生きづらさというものがあるとすれば、やはりそういった人権侵害という面では、性的少数者の人権は十分擁護されなければいけないものというふうに認識してございます。
◆富田たく 委員
私もそのとおりだと思います。
ちなみに、区ではこういった取り組み、LGBT、性的マイノリティーの方々に対する取り組み、どのようなことを行っていらっしゃるでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
性的少数者だけではございませんけれども、さまざまな人の悩みを相談するということで、男女平等推進センターの相談業務でもやってございます。年に数件程度、そういった方々の相談があるということでございます。
◆富田たく 委員
そういった相談活動、大変重要ですが、杉並区の男女共同参画行動計画(平成25年度~29年度)の目標Vに「男女共同参画を推進する社会づくり」という項目がありまして、その3番目の項目で、「従来からの啓発講座に加えて、性的少数者(性同一性障害者等)に対する問題など、今日的な課題を含め、男女共同参画に関する普及啓発をより一層拡充していきます。」とありますが、この辺、どのようにより一層拡充しているでしょうか、お答えください。
◎男女共同参画担当課長
具体的な取り組みというのはまだまだこれからでございますが、やはりそういった性的少数者が社会で不当な差別を受けないような、区民の理解の促進のための普及啓発を今後とも推進していく必要があるということの課題の認識でございます。
◆富田たく 委員
ちなみに、啓発活動の一環として、LGBTや性的少数者に対するような後援、講義活動とか、そういうことはやっていらっしゃるでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
社会教育センターのほうの後援事業でございますけれども、明治大学のヒューマンライブラリーというところで、社会的差別を受けやすい人が自分の人生を語るという講座がございまして、その中で性的少数者の方が自らの体験を語るという事業に対して、区として後援してございます。
◆富田たく 委員
そういった活動を日常的にやっていくことが今求められていると思います。
LGBTの支援として有名なのが大阪市淀川区の取り組みですが、ご存じであれば、簡単に概要を教えていただけますでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
淀川区のほうでそういった性的少数者についての啓発活動を行って、宣言を行っているということは認識してございます。
◆富田たく 委員
細かいところはまだご存じではないようなので簡単に説明しますと、全国で初めて、行政としてLGBT支援宣言を淀川区は発表されております。「LGBTに関する正しい知識と理解を深め、少数者の人権を尊重したまちづくりを進めていきます。」として、LGBT支援事業、意見交換会、啓発活動、電話相談、コミュニティスペースなどの4つの事業を展開しているんです。
淀川区のLGBT支援のホームページを見ると──副委員長、資料を。
○山本ひろこ 副委員長
どうぞ。
◆富田たく 委員
これはホームページのトップページのハードコピーですが、「レインボー、はじめました!」と書かれ、レインボーマーク、虹色のマークが書かれているんです。LGBTなど性的指向や性自認の多様性のシンボルマークとして、この虹色の印、レインボーが使用されております。行政としてこういったアピールをしている。さらに意見交換会では、レズビアンカップルで子育てをしている方、こういった方をお呼びしているんですね。こうした先進的な取り組みをぜひ区でも検討していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
性的少数者を含めたさまざまな方の人権侵害については、不当な差別を受けないように、今後とも区民の理解を促進するための啓発を行っていく必要があるかと思います。男女共同参画行動計画につきましても、今後そういった課題認識のもとに改定作業を行っていく視点も必要だというふうに考えてございます。
◆富田たく 委員
こういった取り組みに前向きな姿勢だと受けとめております。
ちなみに、レインボーマークを、例えば淀川区では各職員のネームプレートに入れていたりしておりますが、こういったことをすることで、性的少数者、LGBTの方々が、自分たちのこういった指向に理解がある人だというふうに認識をして、すごく安心感を受けるということです。
淀川区のほうでは、区庁舎の正面玄関にレインボーの旗が立っていたり、また職員のネームプレートにレインボーのマークがついていることで、いろいろな困難を抱えている方々が安心して相談ができる、そういう効果もあるそうです。こういった取り組みもやってみてはいかがでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
さまざまな自治体の取り組みについては、今後とも十分に研究していきたいと思います。
◆富田たく 委員
さて、私にもLGBTの友人が何人もいるわけですが、初めてLGBTのカミングアウトを私自身が受けたのは、今から10年以上前でした。サラリーマンとしてシステムエンジニアをやっていたとき、職場で仲よくなった同世代の男性で、仕事帰りによくお酒を飲みに行き、仕事の悩みを互いに相談したり、スキーやスノーボードなどに何度も行くほど親密になっていたのですが、それでも、私に彼が、自分がゲイであること、男性の同性愛者であることを表明したのは、仲よくなってから約2年後です。偏見や差別を気にして本当の自分を出せない状況があるということを、私、そのときに、その大変さを初めて実感したわけです。
その彼が当時一番気にしていたのは、自分は同性愛者だから結婚ができない、子どもがつくれず、家族がつくれないということでした。結婚という形で将来を共に誓い合うことができない、こういったことに大変な不安を感じていたんです。こういった、結婚ができないという当事者が抱えている不安、特に同性愛者の結婚について、杉並区はどのように認識されているでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
結婚というのは法律婚でございますので、日本の場合はまだ同性婚を認めるという制度はございません。そういったところから、制度的な面でいろいろな課題があるのではないかというふうに考えます。
◆富田たく 委員
ちなみに、その課題というのは、解消すべき課題というふうに認識されているでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
法制度がないという点において、いろいろな状況が生じているということは、ある程度出るということでございます。
◆富田たく 委員
そうですね。法的な制度が今現在整備されておりません。
しかし、最近は、結婚式を挙げる同性カップルが実は増えてきているんです。ウエディング業界では、新市場として前向きにこれを捉えています。また弁護士事務所では、同性カップルの関係性について、公正証書としてパートナーシップ契約書を作成するといった事業を行っているところもあります。
イギリスの化粧品会社、日本法人のラッシュジャパンでは、ことし1月に、正社員が同性をパートナーとして届け出れば配偶者とみなして祝い金を支給し、5日間の慶事休暇をとれるよう福利厚生を変更したそうです。育児休暇やパートナーの親の介護休暇もとれるとのこと。
日本の社会は今、同性カップルの結婚を受け入れる土壌ができつつあります。民法では認められていませんが、専門家の憲法の解釈でも、個人の尊重と生命、自由及び幸福追求権を規定した憲法13条、及び全ての国民は法のもとに平等であるとした憲法14条に照らせば、同性愛者も結婚し、その法的メリットをひとしく受けられるべきだと考えられていますし、同性結婚の法制化を求める団体や個人の運動も今現在行われております。こういった社会的な動きを杉並区はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
憲法の、そういった解釈もあるということは認識してございます。
◆富田たく 委員
ちなみに、憲法24条では、婚姻について、「両性の合意のみに基いて成立し、」と記載されておりますが、この文言は、憲法作成当時、日本に根強く残る家族制度、家父長制度による、当事者を無視した家と家との結婚という形から、自由、平等な家族関係にしていこうということを目的に規定された条文です。そのため、両性がと書かれているものの、同性の結婚を否定するためにつくられた文言ではないという理解が法曹界でも趨勢です。
同性結婚法の成立に向けた運動をしているEMA日本という団体は、結婚することで得られる権利や社会保障給付について、同性カップルは基本的にその全てを認められないとしています。その数は、実に60以上を数えます。例えば、パートナーとの実子の共同親権を持てる、また、パートナーが死亡した際に遺族年金がもらえる、医療保険の被扶養者になれる、所得税の配偶者控除、配偶者特別控除が受けられる、相続税の配偶者控除が受けられる、パートナーから暴力を受けた際、DV法上の保護が受けられる、公営住宅に2人で入居できるなど、こういった法的メリットが、同性婚の方々には一切適用されておりません。
さて、このような中、渋谷区では、同性カップルに対して結婚相当の証明書を発行するという条例案が提出されました。条例案中では、「区民及び事業者は、その社会活動の中で、区が行うパートナーシップ証明を最大限配慮しなければならない。」としています。法的な強制力はありませんが、行政が結婚関係の多様性を認め、同性カップルに対し、結婚関係と同等のものであると証明書を発行することは、日本では画期的なことではないでしょうか。ぜひ杉並区でもこういった制度について検討していくべきと提案いたしますが、いかがでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
渋谷でそういった条例案が今回提出されたということは認識してございます。杉並でどうするかというのは、すぐにどうこうするものではございませんが、そういった他の自治体の動向などを十分注視して、区の性的少数者の人権擁護の取り組みの参考としていきたいというふうに考えてございます。
◆富田たく 委員
世田谷区長も、世田谷区としても具体的に何ができるか、答えを出すべく準備しているというふうに、こういった取り組みが他の区にも広がっております。ぜひ、今すぐ制度をつくれというわけではなく、改めてそれができるかどうか検討していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎区民生活部長
渋谷区での条例案が報道等で明らかになって以来、ほかの新聞でも大きく取り上げるなど、社会的な関心が高まっているというふうに認識しております。性的少数者の問題は、誰もが暮らしやすい社会、あるいは多様性のある社会などを目指す男女共同参画社会の実現にとって、やはり今日的な課題の1つであるという認識でございます。
現在でも、先ほど課長がご答弁申し上げたとおり、男女平等推進センターの相談業務の中で対応させていただいたり、あるいは所管は異なりますが、総務課のほうでは、毎年の人権週間の中で、性的少数者の人権という視点からのPRなどもしているところでございます。
今後、渋谷区の取り組みの状況など、情報収集をさらに努めながら、来年度は男女共同参画行動計画の改定が控えておりますので、どういった支援あるいは現行の施策、事業の拡充ができるか、さまざまな角度から検討を進めてまいりたいと考えております。
◆富田たく 委員
検討を進めていきたいという重要な答弁がありましたので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
さて、同性カップルの結婚の話をしてきましたが、今回渋谷区で提案されたパートナーシップ証明書は、いわゆる事実婚証明書ともいうことができると思います。私ごとになりますが、2010年に、友人たちが手づくりの結婚式を開いてくれて、結婚を世間に表明いたしました。私たち夫婦は、婚姻届を実は出していません。一般的には事実婚と言われる夫婦です。こういった事実婚について、区はどのように認識されているでしょうか。
◎男女共同参画担当課長
法律婚が法的に認められた事実ということで、事実婚についても、法的に民法等で認められているものもございますが、あくまでも事実上の婚姻ということで認識してございます。
◆富田たく 委員
事実婚と聞くと、ついつい内縁の妻、夫といった表現がいまだに用いられますが、実はこれは明確に区別すべきものだと考えております。今現在の事実婚とは、婚姻届を出さずに婚姻関係を営むことを自主的に選択したものです。その理由としては、夫婦別姓の問題もあります。しかし、私たち夫婦が事実婚を行っているのはそれだけではないんです。
民法739条の婚姻の届け出、そして750条の夫婦の氏、この規定により、どちらかの姓に入り、1つの戸籍をつくらなければならないと、今の結婚制度はされております。日本の旧来の非民主的な家族制度が残り、個人より家系や家柄、血筋を尊重するような制度となっていることが、法定結婚を選ばない理由です。結婚したら、夫が主人で、妻が附属物という根強い日本の古い習慣、風習に従うのではなく、対等、平等の関係を求め、また1人1人が自分らしい生き方を選択できる社会、その個々の選択を尊重し、多様性を保障する社会になることを願って、事実婚という選択をとりました。
渋谷区の今回の条例では、パートナーシップ証明の条例案の中では、パートナーシップの対象を同性のカップルに限定しております。今後、区が同様の制度を検討する際、同性でなく、異性同士の関係についても一緒にこういったものを考えていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
区立施設再編整備、近隣住区の考え方についてです。
2013年9月に、区立施設再編整備計画の素案が発表されました。当時、施設の削減の理由として書かれていたものは、今後30年間に必要な改築改修経費は約2,779億円と推計され、大きな財政負担となることが挙げられておりました。これについては、単純計算しても毎年90億円程度起債し、さらに平準化すれば、単年度の負担は区財政を揺るがすほどにはならないことを当時の議会質疑で明らかにしてまいりました。
資料No.14、区立施設の改築改修経費について、項目2番、簡単に説明していただけますでしょうか。
◎施設再編・整備担当課長
区立施設の改築改修費でございますが、10年間の推移の資料でよろしいですか。
◆富田たく 委員
No.14。
◎施設再編・整備担当課長
これは平成16年度から25年度までの改築改修経費の推移でございますが。
◆富田たく 委員
項目2番目。今後30年間に予定されている。
◎施設再編・整備担当課長
失礼いたしました。今後30年間に予定されている改築改修経費約2,779億円の、起債した際の返済年と年度ごとの返済額の推定額でございますが、学校につきましては、返済年数25年、その他につきましては20年ということでお答えをしております。
◆富田たく 委員
例えば最大返済額、何年で幾らになっているかとか。──この資料によりますと、起債を活用すると、この2,779億円、一見すると膨大にも見える改築改修経費も、多い年でも42億円、単年度での支払いで済む。こういった形で起債を活用すれば、平成27年から平成80年まで、30年間ではなく45年間を使って毎年の負担を軽減できるという形で記載されております。施設削減の根拠とされていた膨大な財政負担論は、こういった区債を使うことでこの論拠は使えなくなっているわけですね。
さらに、その後2013年11月に出されました改定素案では、施設削減の新たな根拠として、急激な少子高齢化論が後づけされました。30年後には、高齢者の割合が現在の20%から40%へ2倍となる、生産者人口が現在の70%から50%近くまでに激減するというもので、区税収入が激減するので、削減が必要だとしたものでした。
しかし、ここで使用された将来人口推計は、国立社会保障・人口問題研究所の作成したもの、これが杉並区の実態とは全くと言っていいほど違っていたんです。杉並区の実行計画の改定などに使用されている区独自の人口推計は、20年たっても高齢者人口の割合はたった2%程度しか増加しない。生産者人口の減少は2%以下です。急激な少子高齢化ということは、区自体が発生しないというふうに発表していることになります。学校統廃合や区立施設削減のときだけ、国立社会保障・人口問題研究所の超少子高齢化のグラフを使うという大変問題のある区の姿勢を、この間議会でも指摘しました。
ということで、杉並区が超少子高齢化の波に襲われるという論拠も使えなくなったわけですが、では現在、膨大な財政負担論も使えず、超少子高齢化論も使えないとなった今、区立施設再編整備計画の一番の論拠、必要な根拠は一体何なんでしょうか。
◎施設再編・整備担当課長
区といたしましては、昭和45年につくった区の近隣住区の考え方等々、時代の変化にそぐわなくなっているところがあり、区の施設全体が老朽化をしていて、今後莫大な費用がかかるという試算は、お示ししたとおりでございます。
人口についても言及がございましたけれども、区といたしましては、少子高齢化は今後も進むものと認識をしておりますし、将来に備えて的確にサービスを継続していくために、区立施設再編整備計画は必要と考えてございます。
◆富田たく 委員
今お話しされた3つの論点の中で、少子高齢化論は全く別のグラフを使っていて、区が推計しているものとはかけ離れている。莫大な負担増と言っておりましたが、起債を活用すれば平準化されて、毎年毎年の負担は全然大きくはない。そうすると、近隣住区の考え方についてだけが残ると思うんですが、そもそも近隣住区の考え方というのは、一体どういった考え方でしょうか。
◎施設再編・整備担当課長
近隣住区の考え方につきましては、昭和45年に杉並区の長期行財政計画の中で考え方として採用したものでございまして、当時、学校や保育所を整備するに当たりまして、7地域に1つの区民センターと、それから、いわゆる小学校区に1つの中規模施設等を整備するという考え方でございます。
◆富田たく 委員
この近隣住区の考え方は、住宅地をつくるときの考え方で、学校、店舗、公園などのコミュニティ施設を備え、幹線道路はその周囲に設置するとして、通過交通を排除し、安全を守る、こういった考え方。日本では大体学校を中心に、8,000人から1万人が単位となってつくられていると言われております。
こういった考え方で、現在まで、児童館やゆうゆう館、区民事務所や会議室、集会施設が細かくつくられてきました。どこに住んでいても区立施設を利用しやすいまちづくりが進められてきたんです。住宅地をつくる考え方としてはとてもいい考え方だと思いますし、私は、この考え方を変える必要性が全く感じられません。何か問題があって、この近隣住区の考え方をやめなければいけなかったのか、具体的に教えていただけますか。
◎施設再編・整備担当課長
繰り返しになりますけれども、区の全体の施設、総じて老朽化が進んできております。施設の利用状況につきましても、集会施設、ゆうゆう館等々変遷がございまして、利用に関しては、効率的にやっていく必要がある。その中で順次、老朽を迎えたものをそのまま建て替えていくという考え方では、なかなか行財政運営上問題があるということで、今回、高齢者は高齢者、子どもは子どもという、そういった施設のつくり方ではなくて、誰もが使っていただける施設を地域に適度に設置していきたいという考え方でございます。
◆富田たく 委員
結局、近隣住区の考え方について何か問題点があったというものでもなく、福祉施設、区立施設を削減するために、後づけの理由としていろいろ持ち出してきたとしか受け取れないんですね。
このまま駅中心のまちづくりを進めていけば、先ほども他の委員から発言がありましたが、長距離の移動が困難な方々、特に高齢者にとっては、本当に孤独な、住みづらいまちになってしまいます。地域包括ケアの観点や介護予防の観点などからも逆行していると指摘いたしますが、区の認識はいかがでしょうか。
◎施設再編・整備担当課長
この計画の基本方針の1点目に、「7地域の継承と46地区の基準の転換」ということでお示しをしておりますけれども、この中にも、施設の配置に当たりましては、高齢化の一層の進展等を視野に入れまして、施設間の巡回車両の導入の研究なども含めて、区民の利便性に考慮して再編を進めていくというふうに方針として記載をしているところでございます。
◆富田たく 委員
全然答えになってないんですけれども。杉並区の施設再編整備計画、今現在、福祉施設、区立施設の削減計画となっています。それも膨大な財政負担論や超少子高齢化論など、後づけの理屈を次から次へと持ってくる。また、近隣住区の考え方を変える明確な理由もない。施設に対するニーズが変わったと言いますが、認可保育園や特養ホームの増設のニーズはずっと以前からあったんです。それをあたかも最近必要になったというような論調は、全く的外れです。さらに、特養ホームの増設や認可保育園の増設の声を逆に利用し、施設削減を進めることなど、もってのほかです。
改めて区立施設再編整備計画を進める論拠が全くないことを指摘し、白紙撤回を求めるとともに、区立施設の今後のあり方については、区民との今以上の話し合いをしっかりと行って、合意を得て行うよう求めます。このことを求めまして、私の質問を終了します。
~議事録抜粋終了~