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「小林ゆみ議員の一般質問に対する抗議 」の写しと要望書をいただきました

日々の出来事

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3月16日まで行われた杉並区議会第1回定例会の本会議にて、自民無所属維新クラブ会派の小林ゆみ区議が性的マイノリティについて取り上げた一般質問の内容が社会問題となっている件は皆様もご存知かと思います。
その一般質問に対して区内の当事者たちが抗議文を提出しました。また、杉並区議会の各会派、及び議長、区長宛に抗議文の写しを添付した要望書を提出しました。
私たち日本共産党杉並区議団に届いた要望書と抗議文の写しについてPDFデータを頂けましたので、個人情報は非公開との条件のもと提出した方の了承をいただきブログに掲載させていただきます。
一般質問の問題点が詳細に解説されており、当事者の方々の思いもよくわかる内容となっておりますので、ぜひ多くの方々に読んでいただければと思います。
抗議文PDF ⇒ 小林ゆみ議員の一般質問に対する抗議
各会派宛要請文PDF ⇒ 性的マイノリティに対する差別解消を求める要望書
以下、抗議文と要望書の全文を記載します。

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杉並区議会議員 小林ゆみ 殿
自民・無所属・維新クラブ幹事長 佐々木 浩 殿

小林ゆみ議員の一般質問に対する抗議

2016年2月15日に行われた杉並区議会第1回定例会本会議にて、自民・無所属・維新クラブを代表した小林ゆみ議員により「性的マイノリティーについて」と題した一般質問が行われました。
この間、性的マイノリティに対する偏見や誤解によって生じる差別については、日本国政府や地方自治体も人権問題として認識し、その改善のために正しい知識の啓発・普及、制度改正などが進められているところです。また、行政だけでなく民間企業でも同性カップルに対し異性婚と同等の福利厚生を整える等の取組が行われ、日本社会では性的マイノリティに対する差別をなくし、制度面での解消も行っていこうとする大きな流れが始まっています。
杉並区議会は杉並区行政の監視機能としての役割を担うとともに、人権擁護、差別の解消などについても区民の代表としてその先頭に立たなければなりません。
にもかかわらず小林ゆみ議員が行った一般質問は、性的マイノリティ当事者に対する差別解消を求めるものではなく、侮蔑的な表現を用いながら性的指向を個人的趣味と断言したうえで、多くの予算を費やすことが必要なのかと疑問視するものでした。また、この発言以外にも性的マイノリティ当事者などに対する科学的な根拠のない主張が随所に散見されました。
このような一連の主張、特に性的指向は個人的趣味と断言したことに対し、法制度上の困難の解消、誤解や偏見から発生する差別の解消を求めている性的マイノリティ当事者にとって大きな衝撃を与え、少なくない数の当事者の心を傷つけました。
議会という公的な場で侮蔑的な表現を用いること、また、小林ゆみ議員のただの思い込みとしか言い様の無い理論を用いて性的マイノリティに対する非科学的で事実と異なる認識を流布すること、さらには差別解消の取組を後退させるような発言を行うことは、杉並区民を代表する立場の区議会議員として、あってはならないことだと指摘いたします。
ここに、一般質問を行った小林ゆみ議員及び、所属会派である自民・無所属・維新クラブに対し、性的マイノリティ当事者の立場から厳しく抗議を行うとともに、事実に反した発言内容について正式に訂正と謝罪を求めるものです。
文末に小林ゆみ議員の発言内容の事実誤認点、問題点などについて簡単な解説を載せておきます。小林ゆみ議員、及び所属会派である自民・無所属・維新クラブの皆さまにおかれましては、性的マイノリティ当事者を取り巻く状況についてあらためて確認していただくとともに、日本国憲法第13条で規定されている「すべて国民は、個人として尊重される」の言葉の意味について理解を深め、今後の議会活動の改善に活かしていただきたく要望いたします。
以上
2016年3月2日
連絡先:00-0000-0000
住所:杉並区××××-×-×
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小林ゆみ議員の一般質問での事実誤認点、及び問題点

・渋谷区多様性条例(同性パートナーシップ条例)の違法性に対する誤解について
【小林ゆみ議員の発言】
「同性パートナーシップに関する渋谷区の条例、世田谷区の要綱はその象徴と言えるでしょう。ただしこれらは憲法24条、94条に違反している疑いが強いことが指摘されています。」
【解説】
渋谷区の多様性条例が法律の範囲内であることは、法務省の担当者からも「同性間のパートナーシップを認めることを禁じる法制になっていないので、(条例案は)法律上の問題があるとはいえない」との見解が示されており(“渋谷区の「同性婚」条例案、自民内から異論相次ぐ”朝日新聞デジタル 2015年3月26日)、2015年4月の法務大臣閣議後記者会見でも「(渋谷区パートナーシップ証明制度について)民法との関係の観点から申し上げますと,民法の婚姻法制と矛盾抵触するものではないと理解している。」と法務大臣が発言しています(“渋谷区におけるパートナーシップ証明制度に関する質疑について”法務省 2015年4月7日)。
また、仮に国が「同性婚」を導入するとしても、憲法24条は同性婚を想定しておらず、同性婚を禁止してはいません。むしろ、導入しないことが憲法14条1項における「法の下に平等であって、人種、信条、性別(中略)において、差別されない」に違反する恐れがあります。
・個別の運用を行えるから差別ではないという誤解について
【小林ゆみ議員の発言】
「たしかに性的マイノリティの方々のアパート入居、病院での面会などの不利益が存在するのであれば、彼らの苦しみを取り除き、彼らを救済する必要があります。しかし、それら個々の問題が発生した際にはそれらに対する個別の運用で十分に対応が可能ではないでしょうか。」
【解説】
異性カップルと異なり同性カップルであればそうした個別の運用を求めなければならないことがすでにハードルであり、取り除くべき社会障壁と考えるべきです。個別の対応ではなく、カップルとして公に認められることは、制度上の不利益の除去のみならず、当事者の精神的な支えとなります。
・性的マイノリティ向けのカウンセラーや病院に対する認識不足について
【小林ゆみ議員の発言】
「現在日本には、性的マイノリティ向けの心理カウンセラーや同性結婚式を行う神社や結婚式場、性同一性障害の患者を積極的に診察する病院が存在します。」
【解説】
存在はしますが、地方ですと、ジェンダークリニックそのものがない県もあり、まだ数は足りません。また、多くの結婚式場などは異性カップルであればなんら迷うことなく受け付けられるのに対し、同性カップルでは、その式場が同性結婚式に対応してくれるのか確認し、了承を取り付ける労力が発生します。これは性的指向に基づく差別です。
・他国を例に挙げ、日本の差別は少ないとする発言について
【小林ゆみ議員の発言】
「このように日本は他国に比べると目に見えた差別が少ない国といえます。例えばアメリカでは、キリスト教の教えによって同性愛は罪とされているため、同性愛者に対する差別が根強くあります。またロシアでは2013年に同性愛宣伝禁止法が定められ、去年は動画サイトのYouTubeで同性カップルが手をつないで歩いているだけで周囲の人がその同性カップルに暴言を浴びせたり、殴りかかってくる動画が2日間で200万再生され話題となりました。さらに中東やアフリカには、同性愛自体が犯罪行為とされており、死刑を含む刑罰で罰せられる国も存在します。そのため日本では性的マイノリティへの差別は比較的少ないと言えます。」
【解説】
宗教的な背景もある他国の苛烈な事例を挙げても、日本において性的マイノリティへの差別が許されるというものではありません。2011年6月の国連人権理事会決議(A/HRC/RES/17/19)においても、「世界の全ての地域において、性的指向およびジェンダー同一性を理由として個人に対して行われる暴力と差別の全ての行為に重大な懸念を表明し」とあります(“人権、性的指向およびジェンダー同一性(A/HRC/RES/17/19)”国連人権理事会 2011年7月14日)。この決議には日本も賛成しています。
・「性同一性障害」と「トランスジェンダー」という言葉の意味に対する誤解、また「障害」という言葉に対する誤解について
【小林ゆみ議員の発言】
「そのためここで整理をしておきたいのですが、レズ、ゲイ、バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であるといえます」
【解説】
性別違和感のある人を広くトランスジェンダーと呼ぶのであって、その中で医療の支援が必要な方に付く診断名が性同一性障害です。性同一性障害の診断名を受けないトランスジェンダーの方も存在します。トランスジェンダーの方すべてを性同一性障害であるかのように扱うのは誤解です。
また、最新の精神障害の診断と統計マニュアルDSM-5(日本精神神経学会 (監修))では、「性同一性障害」ではなく「性別違和」となり、概念が変わっています。DSM-5には「DSM-5の狙いは、そのような烙印を避けながらも、自身に割り当てられた性とは異なる性を自認する人々に適切な医療ケアを提供することです。」「自身の割り当てられた性に違和感があることそれ自体は精神疾患ではない」ということを、はっきりと申し上げておかなければなりません。」とあるように性別違和自体は疾患ではありません(脱病理化がなされました)。
ただし、「その状態が、臨床的に意味のある苦痛と関連している。または、その状態が、社会、学校、他の重要な領域における機能の障害に関連している。」場合に診断し得る、というものです。社会などとの関係で障害を抱えている、ということであって、当事者が障害者というわけではありません。
・医学分野における性的指向の定義に対する事実誤認について
【小林ゆみ議員の発言】
「それに対しレズ、ゲイ、バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。」
【解説】
WHOは1990年にICD国際疾病分類において「性的指向自体は、障害と考えられるべきではない」とし、1993年に再び「同性愛はいかなる意味でも治療の対象にならない」と宣言しました。障害であるかとの問いはまったくの事実誤認です。(“同性愛” wikipedia)
・性的指向が個人的趣味だとする誤解について
【小林ゆみ議員の発言】
「そもそも地方自治体が現段階で性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは本当に必要なのでしょうか。」
【解説】
性的指向はほぼ生得的なもので、選び取れるものではなく、一般的な意味での個人的趣味(この場合の趣味は個人が楽しみとしている事柄。性的指向は誰を恋愛・性的対象とするか、またはしないかということであり、楽しみとは物差しが違う)ではありません。また性的指向ならびに性自認は人権の問題であり、趣味だから地方自治体が関与する必要はないというものではありません。
・性的指向、性自認という言葉に対する認識不足について
【小林ゆみ議員の発言】
「杉並区は性的少数者と一括りに表現していますが、本来、レズ、ゲイ、バイとトランスジェンダーは本質的に異なるため、区別されなければなりません。」
【解説】
本質とは何を指すのか分かりませんが、性的指向と性自認の軸ということであれば確かに異なります。しかしながら、レズビアンの人、ゲイの人、バイセクシュアルの人、トランスジェンダーの人というのが独立して存在しているわけではなく、すべての人々それぞれに性的指向と性自認の属性が存在します。2007年に国連人権理事会で承認されたジョグジャカルタ原則においても「各個人の性的指向や性自認のいかんに拘わらず、全ての人権を完全に享受する」と明記されています。ジョグジャカルタ原則には日本も賛成しています。(“ジョグジャカルタ原則” wikipedia)
・人権問題としての認識不足について
【小林ゆみ議員の発言】
「以上、性的マイノリティについていくつか質問させていただきましたが、それはトランスジェンダーである私の親友がここ最近のLGBTに関する運動の盛り上がりに不信感を抱いており、自分はカムアウトはしたくないし、そもそも世間にここまで大きく性について取り上げて欲しくない、という彼女の言葉を聞いたことがきっかけでした。」
【解説】
性の多様性を尊重する共生社会は、個人のセクシュアリティ(性のあり様)を尊重するものであり、そのため強制的にカミングアウトさせたりアウティングしたりすることではありません。当然、カミングアウトするもしないも当人の自由です。また、ご親友がカミングアウトしたくないというのであれば、それはカミングアウトした場合に差別が存在する恐れがあることを示唆しています。区民の代表たる区議会議員として、いかなる性的指向や性自認の人であっても差別されない社会の構築に向けて、人権課題として取り組むべきではないでしょうか。
・不適切な事例の取り上げ方について
【小林ゆみ議員の発言】
「またその逆のパターンで、マジョリティの力よりもマイノリティの力が大きくなり、マジョリティ側を迫害する構図が生まれることも考えられます。実際にアメリカのコロラド州では、キリスト教の信仰から同性婚のためのウエディングケーキの販売は出来ないとして断った洋菓子職人の男性が、日本円にして約1700万円の賠償金支払いを命じられたという事例があります。」
【解説】
洋菓子店は宗教施設ではありません。信教を理由に特定の客へのサービスを拒否することは、例えば、客の肌が黒いとしてサービスを拒否し、差別を行うことと変わりありません。マイノリティの力が大きくなりすぎるとしてこの事例を挙げることは不適切です。
・人権問題や個人の多様性の尊重の問題が、数の勝負としてしか考えられていない点について
【小林ゆみ議員の発言】
「海外ではこのような性的マイノリティによる過剰な人権訴訟が増えており、敗訴した企業や店舗は営業停止に追い込まれるなど、本末転倒のケースが少なくありません。」
【解説】
洋菓子店の事例からこの部分までの下りは、マイノリティの力はマジョリティよりも強くなってはいけない、ということを含んでいると捉えられます。性の多様性を尊重する共生社会というのは数の勝負ではありません。またそもそもセクシュアリティとはグラデーションであり、例えば100%の異性愛者と100%の同性愛者だけが存在するわけでなく、90%異性愛者で10%同性愛者なあり方や、50%対50%という方もいるでしょう。当事者、非当事者という線引きは絶対ではありません。求められるのは、前述のジョグジャカルタ原則にもあるように、全ての人のセクシュアリティの尊重です。
・性的マイノリティ当事者を表現する際の侮蔑的な表現について
【解説】
なお、「レズ、ゲイ、バイ」と繰り返し発言しておられますが、“レズ”“バイ”は侮蔑語と受け止められかねない表現です。今後は、“レズビアン”“バイセクシュアル”と発言なさるようにお願いいたします。
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◆ご参考までに、2016年2月15日に行われた小林ゆみ議員の一般質問と答弁について添付いたします。

【小林ゆみ議員】
最後に性的マイノリティについての質問をいたします。
昨年に実施された電通総研の調査によると、日本人の約13人に一人が性的マイノリティであるという結果が出ています。今までよりもそういった話題が俎上に上ることが多くなったこともあり、区としても実態把握に努める必要があるのではないか、と思えるほどに、性的マイノリティの人権を守るための運動は日本でも広がってきています。同性パートナーシップに関する渋谷区の条例、世田谷区の要綱はその象徴と言えるでしょう。ただしこれらは憲法24条、94条に違反している疑いが強いことが指摘されています。たしかに性的マイノリティの方々のアパート入居、病院での面会などの不利益が存在するのであれば、彼らの苦しみを取り除き、彼らを救済する必要があります。しかし、それら個々の問題が発生した際にはそれらに対する個別の運用で十分に対応が可能ではないでしょうか。例えばアパート入居や病院での面会権を家族以外にまで広げることは不可能ではないですし、財産に関する問題は公証人役場で遺言、公正証書を作成すれば、新たな条例などは不要です。また、家族ではないからと言ってアパート入居、病院での面会を断られるケースは本当に多く発生しているのでしょうか。現在日本には、性的マイノリティ向けの心理カウンセラーや同性結婚式を行う神社や結婚式場、性同一性障害の患者を積極的に診察する病院が存在します。さらに厚生労働省が精神保健福祉手帳から性別欄を削除するなど、性的マイノリティに配慮した政策が国内ですでに進んでいます。このように日本は他国に比べると目に見えた差別が少ない国といえます。例えばアメリカでは、キリスト教の教えによって同性愛は罪とされているため、同性愛者に対する差別が根強くあります。またロシアでは2013年に同性愛宣伝禁止法が定められ、去年は動画サイトのYouTubeで同性カップルが手をつないで歩いているだけで周囲の人がその同性カップルに暴言を浴びせたり、殴りかかってくる動画が2日間で200万再生され話題となりました。さらに中東やアフリカには、同性愛自体が犯罪行為とされており、死刑を含む刑罰で罰せられる国も存在します。そのため日本では性的マイノリティへの差別は比較的少ないと言えます。しかしそれは裏を返せば、国民が彼らについての正しい知識を持っていないということの裏づけでもあります。
そのためここで整理をしておきたいのですが、レズ、ゲイ、バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であるといえます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます。またトランスジェンダーの方は障害であると認められているからこそ、性別が変更できるなどの法的に救済策が用意されています。それに対しレズ、ゲイ、バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。そもそも地方自治体が現段階で性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは本当に必要なのでしょうか。その前提に基づきいくつか質問をしていきます。
杉並区男女共同参画行動計画においては「性的少数者(性同一性障害者等)」と記載されていますが、ここで言う等には何が含まれているのでしょうか。お伺いします。
また関連して、杉並区男女共同参画行動計画は今年改定されますが、そこでは性的マイノリティについてどのように表現されるのか伺います。
杉並区は性的少数者と一括りに表現していますが、本来、レズ、ゲイ、バイとトランスジェンダーは本質的に異なるため、区別されなければなりません。実際に私の友人のトランスジェンダーの方々に話を聞くと、レズ、ゲイ、バイとひとまとめにされることには抵抗がある、とのことでした。そのため区は、レズ、ゲイ、バイとトランスジェンダーは異なるものであると周知し、「LGBT」や「性的少数者」という性的指向と性的自認をひとまとめにした表現を改めるべきだと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が今年4月1日から施行されますが、性同一性障害の方々は対象になるのか、杉並区の見解を問います。
最後の質問となりますが、杉並区は今後も性的マイノリティの人権を守るための活動を続けていくのでしょうか。また杉並区は今後、渋谷区の条例や世田谷区の要綱のようなものを出すことはあり得るのか伺います。
以上、性的マイノリティについていくつか質問させていただきましたが、それはトランスジェンダーである私の親友がここ最近のLGBTに関する運動の盛り上がりに不信感を抱いており、自分はカムアウトはしたくないし、そもそも世間にここまで大きく性について取り上げて欲しくない、という彼女の言葉を聞いたことがきっかけでした。多様な思想や個性を持つ私たちが共生していくにあたり、身近に性的マイノリティの方々がいるということを認識するということは重要です。その上で、マジョリティ側がマイノリティの気持ちを理解し、その気持ちに寄り添うことで様々な状況が改善するはずです。ただそこで注意すべきこととして、マイノリティを助ける側の人々が、「人助けをしよう」という気持ちが過剰にふくらみ、上から目線となり、マイノリティの方々に差別的な目線を送っている可能性があります。またその逆のパターンで、マジョリティの力よりもマイノリティの力が大きくなり、マジョリティ側を迫害する構図が生まれることも考えられます。実際にアメリカのコロラド州では、キリスト教の信仰から同性婚のためのウエディングケーキの販売は出来ないとして断った洋菓子職人の男性が、日本円にして約1700万円の賠償金支払いを命じられたという事例があります。洋菓子職人の男性は、同性カップルにウエディングケーキを作ることを強いることは信教の自由と言論の自由を迫害していると主張したにもかかわらず訴訟に負け、自身の宗教的信条を否定される苦痛を味わうことになりました。海外ではこのような性的マイノリティによる過剰な人権訴訟が増えており、敗訴した企業や店舗は営業停止に追い込まれるなど、本末転倒のケースが少なくありません。性的マイノリティ支援において本当に重要なことは、彼らが本当に求めていることは何であるのかを見極め、一人ひとりにあった対応をすることです。それにもかかわらず結果的に差別の無かった所に差別が生まれてしまうという逆説的な結果が生まれてしまうこともあります。
全ての人がマジョリティに対してもマイノリティに対しても思想、信条の自由を侵害しないことを願い私の一般質問を終えさせていただきます。
【井口区民生活部長】
私からは、性的マイノリティについてのご質問にお答えします。まず区の男女共同参画行動計画における性的少数者についてのお尋ねでございますが、「性同一性障害者等」の等につきましては、レズビアン、ゲイ等の性同一性障害者以外のすべての性的少数者を意味しているところでございます。今年1月に改定いたしました男女共同参画行動計画におきましても、性的少数者については同様に、性的少数者、括弧書きとして性同一性障害者等と記載しております。
次に、性同一性障害者についてのお尋ねでございますが、性同一性障害者につきましても性的少数者としての差別や偏見を受けることは変わらず、その人権について他の性的少数者と同様に守らなければならないものと認識しております。
次に、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてでございますが、性同一性障害の方がこの法律の対象として障害者に該当するかはこの法律では明確にされておりませんが、人権問題として差別や偏見は無くしていかなければならないものと捉えております。
私からは最後に、性的マイノリティの人権についてのお尋ねにお答えします。性的マイノリティに関しましては様々な差別や偏見により生きづらさを抱えている状況があり、区の男女共同参画行動計画におきましても、人権問題として性的少数者に対する理解の促進のための啓発の取り組みを今後も進めてまいります。なお、性的マイノリティに関する渋谷区の条例や世田谷区の要綱の制定につきましては、既存の法制度との整合性等の課題とともに、婚姻のあり方や家族観など、区民の中にも賛否様々な意見があると捉えておりますので、同様の条例、要綱の制定については現在のところ考えてございません。
私からは以上でございます。
(杉並区議会平成28年第1回定例会 本会議(平成28年2月15日) 録画中継より)
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2016年3月7日
日本共産党 杉並区議団 殿
連絡先:00-0000-0000
住所:杉並区××××-×-×
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性的マイノリティに対する差別解消を求める要望書

平素より杉並区民の福祉向上のためにご尽力くださる議員の皆さまに感謝申し上げます。
2016年2月15日に開催されました杉並区議会第1回定例会本会議にて、小林ゆみ議員が行った「性的マイノリティーについて」と題する一般質問のなかで、性的マイノリティに対し侮蔑的な表現を用いながら性的指向を個人的趣味と断言し、同性愛者への支援に公的資金を使う必要はないと、逆に差別を助長させる旨の発言が有りました。
この発言は、法制度上の困難の解消、誤解や偏見から発生する差別の解消を求めている性的マイノリティ当事者にとって大きな衝撃を与え、少なくない数の当事者の心を傷つけました。
東京新聞では「当事者から批判『理解不足』、差別解消に逆行」と報道され、日本の英字新聞であるThe Japan Timesでも「Tokyo lawmaker says being gay is matter of ‘personal taste,’ does not merit taxpayer support」と取り上げられており、インターネット上では小林ゆみ議員の差別発言や誤解、偏見に対し当事者や乙武洋匡氏など著名人から怒りの声が上がっております。
この度、性的マイノリティ当事者として、小林ゆみ議員と所属会派である自民・無所属・維新クラブ幹事長佐々木浩議員に対し、事実に反した発言内容について訂正と謝罪を求め抗議文を提出いたしました。
つきましては、提出した抗議文及び、一般質問の問題点をまとめた文章の写しをお渡しいたしますので、貴会派の議員の皆さまと情報共有いただき、性的マイノリティに対する誤解、偏見の払しょくと差別解消に向けてご助力いただきたく要望いたします。
[添付文書](計8頁)
1.小林ゆみ議員の一般質問に対する抗議
2.小林ゆみ議員の一般質問での事実誤認点、及び問題点
3.小林ゆみ議員の一般質問と答弁
以上
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以上、全文の転載でした。